ヤングレーサー

デビューから4年半が経った2025年1月、加藤優弥（かとう まさや）は初めてA2級に昇格し、地元三国の正月レース「初夢賞」を走った。結果は準優には乗れなかったが、4日目と最終日の1枠戦で計2勝を挙げ、A2級とフレッシュルーキーのメンツは保った。展示タイムも出ず、ハッキリしない足の割には健闘したといえよう。

師匠の土山卓也選手からは外コースでやることを勧められていたが、2023年3月のルーキー戦から好枠のときには1コースも使い、4点台、5点台と順調に成績がアップし、2024年の春から秋にかけての半年間は、その前の半年間と比べると1着本数が16本と倍増した。本人はモーターの抽選運が良かったと振り返るが、2024年6月の戸田では「節イチ」と周囲から評価されるほどにモーターを仕上げ、素性以上のパワーを引き出せる調整力を身に付けてきた。

近況は準優2、3枠での乗艇も増え、最初の課題だった準優にコンスタントに乗ることはクリアしつつある。次の課題は初優出だろう。2024年5月以降、1コースでの1着率は50％と高く、最近では萩原秀人や永井彪也らのA1級を悠々と下しているほどだ。4コースの1着がないのだが、「同格相手ならスタートで主導権を握れるので2、3着は外しません」と強気だ。データ的には1着率が低いコースなのに「4、5コースが好き」と挙げるのも、負けじ魂と伸びシロを感じさせる。

福井農林高校出身で、一度就職してからボートレーサーに転身。128期のリーグ戦勝率は5.30だった。ルーティーンは何も考えないことだそうで、冷静に無我の境地か。師匠・土山卓也選手に追いつき、追い越すことをめざす。

小坂風太（こざか ふうた）は2025年1月の時点で3期連続4点台勝率でのB1級。新しい年はもう一段の飛躍をめざす。高校まではJリーグ・ツエーゲン金沢の下部組織でサッカーをやっていたが、卒業時にプロになれず、ボートレーサーに転身。128期でのリーグ戦勝率は5.04だった。ケガをしないように、レース前にはアキレス腱を伸ばすことをルーティーンにしている。

サッカーのシュートと同様に、B1級ながら印象に残るレースを時に仕掛けてくる。2021年5月のデビューから1年5カ月後の同じ三国で念願の水神祭を飾ったのだが、1マークまくりから2マークで2艇を差し返す逆転勝ちで驚かせた。

また、水神祭の10カ月後、2023年8月には三国でエース機を引き、予選1勝ながらも準優2着での初優出（5枠）に成功。優出インタビューでは「伸び主体に全体が良く節イチ。展開を突くというより攻める気持ちで」と語り、さらに「何かするので買ってみてください」と初優勝へユニークな発言。作戦は滅多にしないチルト2度に跳ねての大外戦だったが、伸びようとしたところを1つ内の艇にコツンと張られて6着。それでも新人ながら格上相手に1着ゴールを狙うストライカーぶりがファンのハートをつかんだ。

もともと抽選運はいい方。さらに近況はプロペラをたたいて良くなることも増え、展示気配は上々になる。最近1年間では1コース逃げと2コース差しが勝ち星の多くを占めるようになった。特に2コースはスタートで遅れているのに差して伸びるパターンが異色。どこかで何かする一発の魅力、そして2、3着競りも意外に強く、フットワークの賜物か。